vol.13『民事信託を活用した事業承継のための信託のプロセス その3』

未上場企業オーナーの事業承継に民事信託を活用する際の実務のポイントについて連載しています。
今回はその第3回目。

 

 

プロセス3:財産の状況を把握

オーナーの所有するいわゆる自社株式を信託財産とする場合、仕組みの設計者は、その株式の状況を把握しなければなりません。
まず、会社の定款を確認します。株券発行会社ではないか? 譲渡制限株式であるか? 種類株式は発行していないか?など信託財産とする株式の内容を確認します。
それ以外に、他の株主はどのような人がいるかも把握していきます。オーナーの親族でない少数株主がいる場合、事業承継対策の仕組みをつくるうえで注意が必要かもしれません。

定款の確認は怠ることなく必ず行ってください。筆者の経験では、依頼者である現経営者は、自社を株券不発行会社と思い込んでいたものの、定款では株券発行会社となっていたこともありました。
株券発行会社であれば、受託者は株券そのものをオーナー(委託者)より受け入れ、その株券を自身の資産と分別して管理しなければなりません。

また、実務では必要に応じ、信託設定前に定款を見直すこともあります。定款変更が必要ならば、必要な手続きをふまえ定款を変更することもあります。

 

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石脇俊司(いしわき しゅんじ)
一般社団法人民事信託活用支援機構理事
証券アナリスト協会検定会員、CFP、宅地建物取引主任

お問い合わせ:shunji.ishiwaki@shintaku-shien.jp

外資系生命保険会社、日系証券会社、外資系金融機関、信託会社を経て、民事信託活用支援機構の立ち上げに参画。金融機関での経験を活かし、企業 オーナー等の資産承継対策の信託実務を取り組む。会計事務所と連携した企業オーナーや資産家への金融サービスの提供業務にも経験が豊富である。民事信託の健全な活用とビジネスを目的に税理士、弁護士、司法書士らを会員として発足した専門協議会組織「一般社団法人民事信託活用支援機」の中心的な存在としても活躍中。

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